近年、核家族化に伴い少子化が進み、お墓の継承者がいなくなる、またはお墓を持たないと考える傾向も出て参りました。お墓を持たないということは葬儀の際に儀式を行う僧侶が決まっていない、または葬儀の儀式の内容が決まっていないということになります。その場合、葬儀をどのように行うのか、どのような形式で行えるのかを考えてみます。
葬儀の形式
日本は無宗教と思う方も多いかと思います。しかし、明治大正昭和と激動の戦中、天の神を敬う教えを幼少時代に学び神道の精神を重んじる傾向は今日までも続いています。また仏教の一つとなる儒教の教えも日本人の心の支えとなり現在の宗教を導いてきました。自分自身は特に信仰するものはないと思う方も武道や茶道も一つの道を歩んで行く、その道を進みゆく精神です。私達日本人は居住している地域にもよりますが自然と信仰心を育んでいます。
信仰宗教と何ものにもとらわれない無宗教の2つに分類
葬儀を行う際に亡くなった方を導くための先導者がいることは同じ気持ちで向き合う信仰宗教としますと先導者がいないものを無宗教と分類します。以下無宗教の葬儀の形式を考えてみました。
無宗教の葬儀の流れ
通常亡くなった方を弔うための儀式としての教えがありませんので内容は自由に考えることが出来ます。亡くなった方を安置後、柩に納める納棺のあと火葬の日時が決まりましたら、当日どのように送りたいかを考えます。お別れの時間は充分に取ることが出来たとの思いがありましたら当日に多くの時間は必要になりません。柩の中にお花を入れてあげたいとの思いがありましたらお好きな花を用意してご参列くださいました方で手向けて頂ければと思います。
当日の流れ 例①
- 開式
- 黙祷
- 花入れ(献花)
- 閉式
- 出棺
上記に記しました進行の開式、閉式がなければいわゆる直葬に近い形式となりますので出棺までの必要な時間は15分ほどになります。
当日の流れ 例②
- 開式
- 黙祷
- 思い出を振り返る(ナレーション、スライドショー、お別れの言葉)
- 献奏
- 献花
- 花入れ
- 遺族ご挨拶
- 閉式
- 出棺
友人知人が参列してくださる場合は皆さまで思い出話やお花入れをして、出棺前にご遺族様からご挨拶を頂き閉式となりますので出棺までの必要な時間は30分から45分ほどになります。
開式・閉式 | 葬儀の儀式的なものがないと始まりと終了がはっきりしないものになりがちですので無宗教でも開式と閉式を伝えることをお勧めします |
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黙祷 | 葬儀の時の黙祷は亡くなった方に対して声を立てずに祈ることの意味となります |
思い出を振り返る | 参列者で亡くなった方の思い出を振り返り偲ぶ時間として、足跡をナレーションやスライドショー、またはそれぞれが語り合う時間を作ります |
献奏 | 亡くなった方の好きな曲思い出の曲を捧げる時間となりますが特になければ式中にBGMを流しながら行うという方法もあります |
献花 | 花入れとは別の意味で一人一人がそれぞれ思いを込めながら1本の花を捧げる時間となりますが、花入れとして一度に行う時間としても良いかと思います |
遺族挨拶は参列をして下さった方に対しての御礼の意味ですので、一言だけでも良いのでお礼の気持ちを述べて頂ければと思います。亡くなった方に近しい方からのご挨拶で特に一番近い方でなくても問題ありません。出棺の前や火葬が終わったところで、または参列者が散会の場の時でも良いかと思います。
無宗教のメリットとデメリット
メリット
・亡くなった方の思いと家族の思いを尊重して葬儀が出来る
・家族の中で信仰宗教が分裂しているときに中和を摂ることが出来る
・司式者に支払う謝礼が不要になる
デメリット
・家族や親類の理解が必要とされる
・形態が決まっていないので決めることが多く家族の負担が増えてしまう
・希望することを行えるかの式場選びが必要となる
まとめ
人が亡くなりますと弔いをします。死亡届の手続きをしてから火葬(土葬)を行うことは法律で定められていますが葬儀を行わなくてはいけないという法律はありません。亡くなった方が生前周りの方にもしもの場合の時はと意向を伝えている場合もあるかと思います。最近ではよく「家族だけで静かに送ってほしい」「本当に親しい人にだけ知らせて送ってほしい」と思いを伝えるかたも多くなりました。この意図は宗教の在り方ではなく葬儀の規模を考えての気持ちからが殆どです。無宗教の意味するところは亡くなった方と遺された方がどんな弔い方を望むのかを尊重する表れになります。その時が訪れてただ漠然に無宗教で葬儀を行いたいと葬儀社に伝えても中々納得が出来た、これで良かったという結果が出ることは難しくなります。信仰宗教と違い縛りがないのが無宗教ですが何をしたいか何をしたくないかを決めておくことが大切になります。
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